紅茶と君と僕。

気ままに、そのままに。

夕陽を見ると

生きることが辛くなってしまうとか、悲しい気分になったり感傷的になる人が多い。言っていることは理解できるんだけど、夕陽を見てそんな気持ちになったことが無かった。たぶんこれからも無い。

 

どうしてか、僕は夕陽が出ている景色が好きだ。夕刻と呼ばれるあの時間帯が好き。街灯が付き始め、風が心地良いものに変わり、建物や道路が橙に染まる。昼間の景色とは雰囲気が異なっていて、それは景観だけじゃなく人の雰囲気も変わって、その街の本性が表れる時間なのかも知れない。

ある人は夕食の支度のための買い物、ある人は就業時間を終えて帰路に着く。職場や家事といった昼間の顔を捨てて、みんなが本来の自分のための自分に戻る時間。

 

だからと言って、僕は別に人が好きなわけでもなければ、その人達を見て和むわけでもない。外向きの顔という仮面を外した人達が作る安堵感のようなもの、その空気がきっと街の雰囲気にも色を付けて、視覚的にも感覚的にも街が暖色に包まれ、その景色を見た僕がひとりで和んでいるのだろう。

 

ところで、旅行やお出かけをすると、ひとりでそういうものを楽しんでいた。でも今は君が横に居て、同じ景色を見ながら何を思うのだろう。少し気になる。

捉え方が違ったり、もしかしたら寂しく思うのかも知れないけれど、それはそれで良いと思っている。

 

抱いた気持ちは違えど、見たものは同じ。共有できているはずなんだから。ふたりで、いつかの記憶の答え合わせができると良いな。