紅茶と君と僕。

気ままに、そのままに。

ひとつひとつ変わってる

「世界が変わるでしょう?」母は、僕にそう問いかけた。

「いや、そこまでは変わっていないような…?」眼球をわざとらしく上に向けて、思索している素振りを見せる。

 

僕の世界は変わらない。目覚まし時計の鐘を叩く小槌を強引に指で止めることから始まって、何かを考えながらいつの間にか眠ってしまう一日の繰り返し。特に市内に引っ越してきてからは、ずっとこのような感じ。

 

変わらないと思っていた。いや、粗放な視点からすれば、変わっていない。始点終点はいつもと同じで、学校やバイトが仕事に変わっただけ。

 

変わらないと思っていた。思っていたのに、変わっていた。

 

例えば、家に居る時間。休みの日に、頻繁に出かけることなんか無かった。知人と出かけるときでさえ、夕方からのこのこ顔を出すような人間であったのに、今はほとんど家に居ない。ファッションの見方も変わった。これに関しては、まだ見方が変わっただけで、実践は出来ていない。もっと小さなことを挙げれば、スマートフォンの電池の減り具合。以前は、2~3日に一度の充電で事足りたのに。もっと言えば、充電が切れようが気にすることも無かったし、職場に携帯を忘れて帰ることだってあった。

 

小さく、微々たる変化が身のまわりで起きている。それは間違いなく、あなたという存在を知ったことで起こった変化。

他の小さい変化に気づけていないところも、たくさんあるんだろうか。

 

 

「世界が変わったのかも」

次、訊かれることがあったら、たぶんこう答えるんだろうな。

 

モノトーンではなかったけれども、セピア色に近かったと思える僕の世界。言われてみれば、ああ、しっかり色づいてる。

感情にも、心にも、色がついたよ。君が居るから、僕の頬にも色がついたかも知れない。

 

君がくれた色を想像すると、4色は超えている気がする。足してくれた色を自分のファッションに取り入れたら、君はどんな顔をするのだろうか。

暖色も寒色も、君がくれた色は、心を満たすものだったよ。

 

なるほど、これが変化ね。