紅茶と君と僕。

気ままに、そのままに。

冬が運んでくる

この前、玄関を出てすぐ、自分の息が白くなることに気づいた。朝の7時台でこんなに息が白くなるなんて、もう冬なんだなあ。そういえば、空気も冬の匂いがする。冬の匂いを感じると、いつも焚き火の少し焦げ臭い煙の匂いが連なって思い出される。

 

いつも一生懸命な君は、僕の手を握ってくれる。気温に伴って冷たくなってしまう僕の手を、温めてくれる。

手だけじゃない。気持ちも温めてくれる。僕の顔を、下から優しく覗き込んで笑ってくれる。

 

 

自分は本当に弱くなった。弱くなったなと思うことが多くなった。昔の自分なら、といっても昔の自分もそんなに強くなかったけれど。

このいろんなことがあった2年間は、僕自身を弱くしてしまった。自分から弱くなってしまったと言った方が正しいのかも知れない。それが自分で理解できたとき、急にひとりになりたくなった。こんな自分は、誰かと一緒に居るべきではない。居たら迷惑をかけるだろう。どのように迷惑を掛けるのかは自分でもわからないけれど。

 

そして、自分がうまくコントロールできていない気がする。感情が大きく揺れる。

前はこんなことでイライラしなかったのに。前はこんなことで泣いたりしなかったのに。前はこんなことで諦めたりしなかったのに。

 

4月からは新しい環境に早急に馴染まなくちゃいけない。外向きの顔を作って、一生懸命に弱くなった自分を殺した。殻を着て歩き、仕事をする自分はとても楽だった。

気持ちの良いものではないし、生きる意味を持てなくなることも多いけど、やっぱり楽な気がした。

 

 

今は、その殻が無くなってしまいそう。ゆっくり剥がし取ってくれる、また、殻を捨てるのを待ってくれている人が居る。一生懸命気持ちを持ち続けてくれて、必ず優しい顔を向けてくれる君。

そんな君が見せる態度や、くれる言葉に対して、様々な態度を示して、時には困らせる僕。優しい君は、それでも一生懸命に歩幅を合わせようとしてくれる。

 

 

 

冬の夜は黒くて寒い。空が灰色に見えることもある。

冬が運んでくるものは僕の身体を凍てつかせる。冷たくなった身体には、君の温かさが少し染みてジワリと融ける。融けて、たまに溢れる。

 

その温かさを知ってしまい、僕はさらに弱くなるのかも知れない。でも今より弱くなっても、横で歩いていたい。

大切な気持ちを抱いて君がくれたものをちゃんと抱えて、僕からもしっかり贈りかえしたい。